NHK朝ドラと私
------------------------------------------------------------------------
この画像は「スカーレット」の感動的な場面です。
ドラマの中で、武志(伊藤健太郎)が母の喜美子(戸田恵梨香)とともに、太陽の光に輝くこの皿を満面の笑みで見つめる場面がありました。多くの視聴者の心に深く刻まれた、今も語り継がれる感動的なシーンです。
劇中に登場したこの皿こそが、私が作品提供した「Water and Flame」という名前で1998年より作り続けている皿になります。
ドラマの中では、主人公・喜美子(戸田恵梨香)の夫・八郎(松下洸平)が、水の景色を陶芸に映し出す挑戦を始めます。そのきっかけとなったのは、喜美子の師匠である火鉢の絵付師・深野心仙(イッセー尾形)から届いた一通の絵葉書でした。
{この絵葉書は私の陶芸作品「Water and Flame」を見て絵画指導の苅谷昌江先生が絵にしたものです。}
八郎はこの「水の皿」を満足に作り上げることができず、その願いは叶いませんでした。しかしその想いは息子の武志(伊藤健太郎)に引き継がれ、皿が完成するまでの陶芸制作の過程が、ドラマ最終章の感動的なメインストーリーとして描かれました。
●夕焼けの色を、皿の縁側の水の際に見せることで皿が生き生きとした表情になり、この完成するまでの紆余曲折の制作の奮闘する過程のストーリーと、完成した皿の内側に生まれる貫入の入る澄んだ音と完成後も永遠に入る貫入の尊さと永遠性を表現したストーリーは私自身の実体験がベースとなっています。
●劇中では、「Water and Flame」の皿は「水が生きている皿」という名で登場します。この名は脚本家の水橋文美江先生がつけてくださいました。
●最終回までの10回の放映において、オープニングテロップ(クレジット)に「陶芸指導 畠山圭史」「武志作品 畠山圭史」として名前を連ねています。
------------------------------------------------------------
「Water and Flame」について
岐阜県に11年ほど暮らした頃、長良川の夕焼けに照らされた光輝く景色と、澄んだ水の幻想的な情景が深く心に響きました。
その景色から感じ取った"さわやかな気持ち"を表現するために生まれたのが、「Water and Flame」という名の皿です。空気のような淡い肌色の本体の中央に透明な水の色を宿し、その境に太陽の光を象徴する緋色を添えた作品を、今も発表し続けています。
この作品には、もうひとつの深い想いが込められています。ロンドンの大和日英基金ジャパンハウスでの個展で初めて発表したこの作品ですが、その個展を率先して企画してくださりながら、開催前にお亡くなりになったカービーみち子元在日英国公使夫人への鎮魂の思いが、常にこの作品に込められています。NHKドラマ「スカーレット」の中でもこの皿を生み出した人物が亡くなるという話で"命の尊さ"が描かれ、感動的な最終回となりました。私自身が経験した追悼の思いと重なり、ひとしお深く感じ入るものがあります。
この澄んだ水の情景を表現するために、「水のゆらぎ」を生み出す独自の技法も編み出しました。細い筆で三日間かけて極めて薄い釉薬のグラデーションを丁寧に塗り重ねるこの技法は、一見すると写真では一般的なトルコ青のグラデーションの皿に見えます。しかし焼成後は目の錯覚を呼び起こし、皿自体が発光しているかのような独特の爽やかな青が浮かび上がります。
この釉薬の重ね塗り技法が生み出されるまでの過程も、私がストーリー制作に協力し、NHKドラマ「スカーレット」の中で丁寧に時間をかけて演出・放映されています。
「スカーレット」陶芸技術指導
NHK連続テレビ小説「スカーレット」では、メイン出演者の戸田恵梨香さん・松下洸平さん・黒島結菜さん・伊藤健太郎さんそれぞれに、撮影開始前に東京にてマンツーマンでの長期陶芸指導を行いました。
陶芸が初めての皆さんが陶芸家として説得力ある演技ができるよう、手の動きを含め徹底的に指導してほしいというNHKからの依頼でした。粘土練りから電動ろくろによる器づくりまで、皆さん陶芸の基本を完全に体得され、自信を持って撮影に臨んでいただくことができました。
さらにNHK大阪撮影スタジオでの伊藤健太郎さんへの陶芸演技指導も、埼玉から長期間通い続けて行いました。戸田恵梨香さんの稽古から始まったこの仕事は、トータル14か月にわたるものとなりました。
なお、伊藤健太郎さんと私の東京での陶芸稽古の様子はNHK「あさイチ」で紹介され、松下洸平さんのオフィシャルInstagramにも稽古の模様を投稿していただきました。
https://www.instagram.com/p/B0dQTydgqOR/?utm_source=ig_web_copy_link






